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麻酔科医の年収はいくら?公的データで見る平均・年代別・働き方別の実態と年収アップ法

「麻酔科医の年収は高い」とよく言われますが、実際にいくらなのか、他の診療科と比べてどうなのか、気になる先生も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、現在の麻酔科医だけを対象とした信頼性の高い公的な年収統計はありません。

診療科別に集計された公的データは限られており、2011年に実施された公的調査では、麻酔科勤務医の主たる勤務先からの年収は平均1,335.2万円で、当時の勤務医全体の平均1,261.1万円を上回っていました(労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」図表5-17、p.30)。

ただし、これは10年以上前の調査であり、現在の麻酔科医の年収相場そのものを示す数字ではありません。

また、近年の公的統計では、病院勤務医の給与や医師職全体の賃金は、おおむね1,480万〜1,510万円程度とされています(厚生労働省 第25回医療経済実態調査、令和7年賃金構造基本統計調査)。

そのうえで麻酔科医の現在の年収は、勤務先・役職・当直・オンコール・非常勤勤務の組み合わせによって大きく変わります。

この記事では、厚生労働省や労働政策研究・研修機構の一次資料をもとに、麻酔科医の年収の位置づけ、年代別・勤務先別の違い、フリーランスや開業を含めた働き方別の年収、そして年収を上げる具体的な方法まで解説します。

麻酔科医の年収はいくら?公的データで見る平均年収

麻酔科医の年収はいくら?

麻酔科医の年収を考えるときは、「医師全体の統計」と「診療科別の統計」を分けて見ることが大切です。

まず医師全体の水準を押さえてから、麻酔科の位置づけを確認しましょう。

病院勤務医の給与・医師職全体の賃金はおおむね1,480万〜1,510万円

厚生労働省が運営する職業情報提供サイト(job tag)の「麻酔科医」のページでは、令和7年賃金構造基本統計調査を加工した賃金(年収)として1,512.3万円、平均年齢45.7歳、月の労働時間158時間が示されています(出典:厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「麻酔科医」 https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/563 )。

ただし、この賃金は「医師」という職種全体の統計を麻酔科医のページに当てはめたものであり、麻酔科医だけの数値ではない点に注意してください。

もう一つの公的データが、中央社会保険医療協議会(中医協)に報告された「第25回医療経済実態調査」です。

令和7年11月26日の中医協資料によると、一般病院(全体)の医師の平均給料年額は令和6年度14,845,784円、医療法人が開設する一般病院に限ると15,767,114円でした(出典:厚生労働省「第25回医療経済実態調査の概要」中医協 実-1-2/総-1-2、令和7年11月26日、p.19-20 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001599547.pdf )。

これは一般病院に勤務する医師の「平均給料年額」であり、すべての医師の総収入を示すものではありませんが、病院勤務医の給与水準の目安として、令和6年度時点で約1,480万円、民間の医療法人病院では約1,580万円と押さえておくとよいでしょう。

2011年の公的調査では、麻酔科は診療科別で4番目の水準

診療科別の年収を集計した公的調査として参照できるのが、労働政策研究・研修機構(JILPT)が2011年12月に勤務医3,467人を対象に実施した「勤務医の就労実態と意識に関する調査」(JILPT調査シリーズNo.102、2012年)です。

10年以上前の調査であり、現在の年収相場そのものを示す数字ではありませんが、診療科別・経営形態別・年齢別の年収を同じ物差しで比較できる貴重なデータです。

この調査の図表5-17(p.30)によると、主たる勤務先の年収(前年度)の平均金額は次のとおりでした(出典:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」図表5-17、p.30 https://www.jil.go.jp/institute/research/2012/documents/0102.pdf )。

診療科主たる勤務先の年収・平均(万円)
脳神経外科1,480.3
産科・婦人科1,466.3
外科1,374.2
麻酔科1,335.2
整形外科1,289.9
呼吸器科・消化器科・循環器科1,267.2
内科1,247.4
精神科1,230.2
小児科1,220.5
救急科1,215.3
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科1,078.7
勤務医全体1,261.1

麻酔科は脳神経外科、産科・婦人科、外科に次ぐ4番目で、当時の勤務医全体の平均を74万円ほど上回っていました。

同じ図表の本文(p.31)でも「診療科別にみると、平均金額がもっとも高いのは、『脳神経外科』であり、次いで『産科・婦人科』」と記されており、麻酔科は外科系に近いグループに位置づけられます。

なお、この数値は「主たる勤務先」の年収のみで、非常勤先やアルバイト先の収入は含まれていません。

麻酔科医は複数の勤務先を持つ人が多いため、実際の総収入はこれより高くなる傾向があります。

麻酔科医の年収分布|主たる勤務先だけで1,000万円以上が75.8%

麻酔科医の年収分布

同じ図表5-17(p.30)から、麻酔科医(n=128)の年収分布を見ると、以下のようになっています(出典:同上、図表5-17、p.30)。

年収区分割合
700万円未満7.9%(300万円未満0.8%、300〜500万円未満1.6%、500〜700万円未満5.5%)
700〜1,000万円未満16.4%
1,000〜1,500万円未満36.7%
1,500〜2,000万円未満25.0%
2,000万円以上14.1%
(再掲)1,000万円以上・計75.8%

ボリュームゾーンは1,000〜1,500万円未満で、4人に3人が主たる勤務先だけで年収1,000万円以上、7人に1人が2,000万円以上でした。

勤務医全体では2,000万円以上の割合が10.0%なので、当時の麻酔科は高年収層の厚みでも上回っていたことがわかります。

民間エージェントの求人データとの差はなぜ生まれるのか

医師転職エージェントが公開している麻酔科医の年収は、公的統計より高めに出ることがあります。

たとえば医師向け情報メディア「ドクタービジョン+」は、2025年9月時点の自社掲載求人をもとに麻酔科医の平均年収を1,581万円と算出しています(出典:ドクタービジョン+「麻酔科医の平均年収は?多様な働き方による年収の違いも解説」2026年1月15日公開 https://www.doctor-vision.com/dv-plus/column/money/anesthesiologist-25.php )。

求人票に記載される「提示年収」は採用したい医療機関が人材確保のために設定した金額であるのに対し、公的統計は在籍中の医師が実際に受け取った金額を集計したものだからです。

求人データからは現在の提示年収の傾向を、公的調査からは調査当時に勤務医が実際に受け取っていた年収を確認できます。

ただし、調査時期や集計対象が異なるため、単純な比較はできません。 

麻酔科医の年収が高いといわれる3つの理由

麻酔科医の年収が高い3つの理由

理由1:手術に不可欠で、医師全体の3.2%しかいない

厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、主たる診療科を麻酔科とする医師は10,628人で、医療施設に従事する医師全体(331,092人)の3.2%にとどまります。

平均年齢は45.9歳です(出典:厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/24/index.html )。 

一方で、麻酔科を標榜する病院は2,782施設あり、全国の病院の39.4%を占めています(出典:厚生労働省「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」医療施設調査 p.9 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/23/dl/02sisetu05.pdf )。

全身麻酔を伴う手術を安全かつ安定的に実施するには、麻酔科医を中心とした適切な麻酔管理体制が欠かせません。

手術件数を維持したい病院にとって麻酔科医の確保は経営に直結する課題であり、地域や医療機関によっては麻酔科医の確保が難しく、採用条件が高く設定されることがあります。

理由2:複数の勤務先を持ちやすく、非常勤収入を積み上げられる

JILPTの調査(図表5-4、p.21)によると、麻酔科医(n=153)のうち勤務先が1カ所だけの人は44.4%で、2カ所が20.3%、3カ所以上が35.3%でした。

勤務医全体では3カ所以上が31.2%なので、麻酔科は複数の勤務先を持つ割合がやや高い診療科です(出典:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」図表5-4、p.21 https://www.jil.go.jp/institute/research/2012/documents/0102.pdf )。

同調査では、複数の勤務先で働く理由として「収入を増やしたいから」が48.1%と最も多く(図表5-5、p.21)、2カ所目の勤務先の年収は平均282.2万円、3カ所目は162.7万円でした(図表5-16、p.29)。

麻酔科医も、主たる勤務先に非常勤勤務を組み合わせることで、総収入が増える可能性があります。

非常勤の単価については公的統計がないため民間データになりますが、ドクタービジョン+は2025年12月時点の掲載求人をもとに、麻酔科の非常勤給与の単価を8〜14万円/日、都心部のスポット相場を1日約12万円としています(出典:前掲ドクタービジョン+記事)。

理由3:緊急手術・オンコール・ICU管理など負荷の大きい業務

麻酔科医の業務は手術室内の麻酔管理だけでなく、術前評価、術後回診、集中治療室(ICU)管理、無痛分娩、ペインクリニックなど広範囲に及びます。

緊急手術への対応やオンコールも多く、時間的拘束が強い業務です。

こうした負荷に見合う処遇として、当直・オンコール手当や役職手当が年収に上乗せされる構造になっています。

医師全体の年代別データから見る麻酔科医のキャリア

年代別で見る麻酔科医の年収

麻酔科に限定した年代別の公的データはありませんが、勤務医全体の年齢別年収はJILPTの調査で確認できます。

図表5-18(p.31)によると、主たる勤務先の年収の平均は20歳代599.0万円、30歳代967.8万円、40歳代1,326.6万円、50歳代1,527.8万円、60歳代以上1,486.6万円でした(出典:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」図表5-18、p.31 https://www.jil.go.jp/institute/research/2012/documents/0102.pdf )。 

これを麻酔科医のキャリアに当てはめると、次のような推移が想定できます。

20代(初期研修〜専攻医)

麻酔科に限定した数値ではありませんが、初期研修医や専攻医を含む20歳代の勤務医全体では、主たる勤務先の年収が平均599.0万円でした。

JILPTの調査でも20歳代は「500万円未満」が38.8%を占めています(出典:同上、図表5-18、p.31)。

ただし麻酔科は専攻医の早い段階から実際の麻酔管理に携わるため、当直や非常勤の機会が得やすい診療科でもあります。

30代(専門医取得後)に年収が伸びる

麻酔科医のキャリアで最初の大きな転換点が麻酔科専門医の取得です。

医師統計によると麻酔科専門医は7,672人、麻酔科標榜医は11,236人います(出典:厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/24/index.html )。 

専門医資格は、一定の知識・経験を備えていることを示すため、転職や非常勤勤務において評価材料の一つになります。

民間の調査ですが、ジョブメドレーエージェント(旧リクルートドクターズキャリア)の2023年6月の自社調べでは、麻酔科の30代は「1,000万円以上〜1,500万円未満」と「1,500万円以上〜2,000万円未満」が拮抗し、40代では約7割が「1,500万円以上〜2,000万円未満」だったと報告されています(出典:ジョブメドレーエージェント 医師「麻酔科の年収事情」2024年1月17日公開 https://dr-agent.job-medley.com/contents_nenshuu/masuika/ )。

40代以降|部長・指導医クラスと転職による上積み

勤務医全体では50歳代の平均が1,527.8万円と最も高く、麻酔科でも部長職や指導医クラスになると年収2,000万円が視野に入ります。

S&Cドクターズキャリアの転職支援事例でも、50代後半の男性麻酔科部長が千葉県の病院(年収1,800万円)から東京都の一般病院(年収2,000万円・麻酔科部長)へ転職し、年収アップを実現しています(出典:S&Cドクターズキャリア 転職支援事例)。

勤務先・地域で変わる麻酔科医の年収

勤務先・地域で変わる麻酔科医の年収

同じ麻酔科医でも、どこで働くかによって年収は大きく変わります。

JILPTの図表5-17(p.30)は勤務医全体の数値ですが、勤務先選びの判断材料として参考になります(出典:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」図表5-17、p.30 https://www.jil.go.jp/institute/research/2012/documents/0102.pdf )。

経営形態別|医療法人1,443.8万円、国立882.4万円、大学(学校法人)739.5万円

経営形態別の主たる勤務先の年収(平均)は、医療法人1,443.8万円、個人1,414.0万円、その他の法人1,406.4万円、公的1,353.4万円、公立1,347.1万円、社会保険関係団体1,280.7万円に対し、国立(独立行政法人・国立大学法人含む)882.4万円、学校法人739.5万円でした。

本文(p.31)でも「平均金額がもっとも高いのは『医療法人』であり、次いで『個人』」「もっとも低いのは『学校法人』であり、次いで『国立』」と明記されています。

大学病院に勤務する麻酔科医の年収が低めになるのはこの構造によるもので、大学から民間病院への転職が年収アップの王道とされる理由でもあります。

病床規模別|小規模病院ほど平均年収が高い傾向

病床規模別では、100床未満1,471.6万円、100〜299床1,437.5万円、300〜499床1,350.2万円、500床以上989.1万円と、規模が小さくなるほど平均金額は高くなっています(出典:同上、図表5-17、p.30)。

500床以上の大規模病院には大学病院や国立の高度医療機関が多く含まれるため、年収の平均が下がる傾向があります。

地域別|政令指定都市・東京23区以外、過疎地域のほうが高い

同じ図表では、政令指定都市・東京23区の病院に勤務する医師の平均が1,137.3万円、それ以外が1,314.7万円、過疎地域に勤務する医師は1,428.2万円で、都市部より地方のほうが高い結果でした(出典:同上、図表5-17、p.30)。

麻酔科医の絶対数が少ない地域ほど医療機関が高い条件を提示せざるを得ない、という需給の構図が背景にあると考えられます。

働き方別の年収|勤務医・非常勤・フリーランス・開業

働き方別の年収

常勤+非常勤で年収を積み上げる

JILPTの調査(図表5-15、p.29)によると、主たる勤務先が常勤の医師の年収は平均1,309.8万円、非常勤は594.7万円でした(出典:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」図表5-15、p.29 https://www.jil.go.jp/institute/research/2012/documents/0102.pdf )。

当社が麻酔科医の転職相談を受けるなかでは、常勤先に週1〜2日の非常勤勤務を組み合わせるケースも見られます。

前述のとおり麻酔科は3カ所以上の勤務先を持つ人の割合がやや高く、非常勤単価も比較的高いため、常勤年収に非常勤収入を加えることで総収入が増える可能性があります。

フリーランス麻酔科医の年収と「専門医の更新要件」

主たる勤務先を持たず、日ごとに異なる医療機関で麻酔を担当するフリーランス麻酔科医は、非常勤単価の高さを活かして高収入を得やすい働き方です。

ドクタービジョン+は、都心部の麻酔科非常勤相場を1日約12万円として、週5日・52週すべて稼働した場合の理論上の年間報酬額を3,120万円(12万円×5日×52週)と試算しています(出典:前掲ドクタービジョン+記事)。

ただし、これは休暇、学会参加、案件のキャンセル、移動時間、社会保険や福利厚生などを考慮していない単純計算であり、一般的な実収入を示すものではありません。 

もう一つ注意が必要なのが、専門医資格の維持との両立です。

日本専門医機構認定麻酔科専門医の資格更新では、原則として、専門医資格取得後も単一の医育機関病院または病院施設で週3日以上、麻酔科関連業務に従事していることが求められます(出典:日本麻酔科学会「日本専門医機構認定麻酔科専門医事前審査に関する内規」第14条、最終改定2025年11月28日 https://anesth.or.jp/files/pdf/53_kikou-senmoni-jizen_20240426.pdf )。

機構専門医の更新申請では「単一施設週3日以上の在籍であることを証明する」在籍証明書の提出が必要で、過去5年間で単一施設週3日以上の麻酔科関連業務に従事していない期間が53週以上ある場合は休止申請の対象になります(出典:日本麻酔科学会「機構専門医 更新申請」 https://anesth.or.jp/users/person/requirement/mechanism_update_renewing )。

このため、複数施設でのスポット勤務だけを組み合わせる完全なフリーランス形態では、専門医資格の更新要件を満たせない可能性があります。

当社の支援現場では、主たる勤務先で週3日以上働きながら他院で非常勤を行う「半フリーランス」型を選ぶ麻酔科医も見られます。

麻酔科医の開業|麻酔科を標榜する診療所は1.7%

麻酔科医のセカンドキャリアとして開業も選択肢で、主な形態はペインクリニックです。

麻酔科を標榜する一般診療所は1,792施設で、一般診療所全体の1.7%ですが、これは麻酔科医が開設した診療所の割合を示すものではありません(出典:厚生労働省「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」医療施設調査 p.10 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/23/dl/02sisetu05.pdf )。

収入面では、第25回医療経済実態調査によると、医療法人が開設する一般診療所の院長の平均給料年額は令和6年度28,978,974円で、約2,898万円です(出典:厚生労働省「第25回医療経済実態調査の概要」p.19-20 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001599547.pdf )。

ただし、これは全診療科を対象とした数字であり、ペインクリニックの収益や開業医個人の所得を示すものではありません。

開業には設備投資や集患のリスクも伴うため、勤務医との比較は収入面だけでなく、経営リスクも含めて検討する必要があります。

女性麻酔科医の年収と働き方

女性麻酔科医の年収と働き方

麻酔科は女性医師の割合が高い診療科です。

医師統計によると、病院に勤務する麻酔科医10,010人のうち女性は43.3%を占めています(出典:厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/24/index.html )。

年収については、JILPTの調査(図表5-18、p.31)で勤務医全体の男性が平均1,300.6万円、女性が885.5万円と差があります。

ただし本文(p.31)では、常勤に限ると男性1,344.7万円・女性939.2万円である一方、非常勤・アルバイトでは男性569.2万円・女性596.8万円と「わずかではあるが『女性』のほうが高い」こと、また女性では「12歳以下の子供がいる」層で平均金額が最も低くなることが指摘されています(出典:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」図表5-18、p.31 https://www.jil.go.jp/institute/research/2012/documents/0102.pdf )。

男女間の平均年収差には、勤務形態や勤務時間、年齢構成、育児期における働き方の違いなどが影響している可能性があります。

麻酔科は「午前のみ」「手術1件のみ」といった時間を区切ったスポット勤務の需要が大きく、単価も比較的高いため、育児期の働き方の選択肢が広い診療科と考えられます。

ライフイベント後に常勤へ戻る際も、専門医資格と麻酔症例の経験が評価されやすい可能性があります。

麻酔科医が年収を上げる5つの方法

麻酔科医が年収を上げる5つの方法

1.専門医・サブスペシャルティ資格を取る

麻酔科専門医の取得は、単独での麻酔管理や非常勤での評価に直結します。

その先には集中治療、心臓血管麻酔、ペインクリニックなどのサブスペシャルティがあり、専門性が高いほど交渉で有利になります。

専門医の更新には前述の勤務実態の要件があるため、非常勤を増やす際もこの要件を満たす形で組み立てましょう。

2.非常勤先の単価と条件を見直す

麻酔科は非常勤収入の比重が大きいため、単価の低い非常勤先を見直すだけでも年収は変わります。

麻酔科の非常勤単価であれば、週1日でも年間で数百万円の差が出ることがあります。

オンコールの有無、対応する麻酔の種類、ワンオペか複数名体制かを確認したうえで選ぶことが大切です。

3.大学・国立から民間病院へ転職する

前述の経営形態別の差は、勤務先を変えるだけで年収が数百万円単位で動くことを示しています。

専門医取得後、手術件数の多い民間病院へ移るのは麻酔科医の年収アップの有力な選択肢の一つです。

4.地方・医師少数区域を視野に入れる

都市部より地方、過疎地域のほうが平均年収は高い傾向にあるため、一定期間地方で働く選択も有効です。

地域によっては、都市部を上回る条件が提示されることがあります。

5.条件交渉をエージェントに任せる

年収や勤務条件の交渉は、自分では言い出しにくいものです。

S&Cドクターズキャリアでは、業界経験5年以上のコンサルタントが登録から入職後まで一貫して担当し、理事長・院長と直接調整しながら求人票にない条件も含めて「設計」するスタイルをとっています。

前述の麻酔科部長の事例では、麻酔ガイドラインから外れたやり方が横行する職場からの転職を希望した先生に対し、ガイドラインを遵守する医療機関を探して急募の病院を見つけ、年収1,800万円から2,000万円へのアップにつなげました。

先生ご本人からは「通勤距離が少し増えたが、業務での安心感が増した」という感想が寄せられています。

麻酔科医の年収に関するよくある質問

よくある質問

麻酔科医の30代の年収は?

麻酔科に限定した公的データはありませんが、勤務医全体では30歳代の主たる勤務先の年収は平均967.8万円です(JILPT図表5-18、p.31)。

専門医取得の前後で大きく変わり、民間調査では30代の麻酔科医は1,000〜2,000万円未満が中心とされています(前掲ジョブメドレーエージェント)。

麻酔科医の年収3,500万円は可能ですか?

主たる勤務先の年収で2,000万円以上の麻酔科医は14.1%(JILPT図表5-17、p.30)で、3,500万円は勤務医の常勤給与だけでは現実的ではありません。

フリーランス型で前述の理論上の年間報酬額(約3,120万円)を上回る水準を目指す場合、極めて高い稼働率と高単価案件の継続確保が必要で、一般的な水準ではありません。

さらに、専門医の更新要件や社会保険、雇用の安定性とのトレードオフも考慮する必要があります。

麻酔科医の年収が高いのはなぜですか?

麻酔科医は医師全体の3.2%(令和6年医師統計)と少ないのに対し、病院の39.4%が麻酔科を標榜し(医療施設調査 p.9)、手術の麻酔管理体制に欠かせない存在だからです。

加えて、複数の勤務先を持つ人が多く、非常勤単価も高いため、実収入が積み上がりやすい構造になっています。

大学病院の麻酔科医の年収は?

勤務医全体のデータでは、学校法人(私立大学)や国立の主たる勤務先年収は、医療法人と比べて低い水準です(JILPT図表5-17、p.30)。

当社の支援現場では、大学病院勤務の麻酔科医が外勤(非常勤)で収入を補っているケースも見られます。

フリーランス麻酔科医の年収はいくらですか?

公的統計はなく、民間の試算として都心部の非常勤相場をもとにした理論上の年間報酬額(約3,120万円)が示されていますが、休暇やキャンセル、社会保険などを考慮していない単純計算です。

実際には稼働日数や単価、専門医資格の有無で大きく変わります。

まとめ:麻酔科医の年収は「働き方の設計」で決まる

まとめ

現在の麻酔科医だけを対象とした信頼性の高い公的年収統計はありませんが、2011年の公的調査では、麻酔科は当時の勤務医全体より主たる勤務先の平均年収が高い診療科でした(JILPT図表5-17、p.30)。

近年の公的統計では、病院勤務医の給与や医師職全体の賃金はおおむね1,480万〜1,510万円程度とされており、麻酔科医はここに非常勤収入を上乗せしやすい診療科です。

一方で、大学や国立と民間病院、都市部と地方、常勤とフリーランスでは年収に数百万円単位の差があり、専門医の更新要件や開業のリスクも考慮する必要があります。

麻酔科医の年収は、勤務先・役職・当直・オンコール・非常勤勤務をどう組み合わせるかという設計次第で大きく変わるのです。

S&Cドクターズキャリアでは、業界経験5年以上のコンサルタントが、求人票に載らない非常勤の組み合わせや麻酔科の体制(ワンオペか複数名か、オンコールの頻度、ガイドライン遵守の状況)まで踏まえて、麻酔科医の先生お一人おひとりに最適な選択肢をご提案します。

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「今の年収が適正か知りたい」という情報収集段階のご相談も歓迎します。

この記事の監修者

渡邊 崇(わたなべ・たかし) 株式会社S&C 代表取締役/S&Cドクターズキャリア 代表コンサルタント

国内大手メディア(報道)、大手不動産(経営企画・営業)、外資系メディア(報道・イベント主催)を経て、大手総合人材会社で医師・看護師紹介事業の営業責任者を務める。2016年より医師紹介事業に特化し、取締役・専務取締役を歴任。2019年より現職。これまで1,500名以上の医師の転職・非常勤勤務を支援し、1,000を超える医療機関の採用を支援。医師専門エージェントとして、求人票に載らない条件交渉・非公開ポジションの獲得・キャリア戦略の伴走を強みとする。

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参考文献・出典一覧

  1. 労働政策研究・研修機構(JILPT)「勤務医の就労実態と意識に関する調査」JILPT調査シリーズNo.102、2012年(調査実施:2011年12月、有効回収3,467票)図表5-4(p.21)、図表5-5(p.21)、図表5-15(p.29)、図表5-16(p.29)、図表5-17(p.30)、図表5-18(p.31)、本文p.28-31 https://www.jil.go.jp/institute/research/2012/documents/0102.pdf
  2. 厚生労働省「第25回医療経済実態調査の概要」(中医協 実-1-2/総-1-2、令和7年11月26日)p.19-20 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001599547.pdf
  3. 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「麻酔科医」(令和7年賃金構造基本統計調査を加工) https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/563
  4. 厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/24/index.html 
  5. 厚生労働省「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」医療施設調査 p.9-10 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/23/dl/02sisetu05.pdf
  6. 公益社団法人日本麻酔科学会「日本専門医機構認定麻酔科専門医事前審査に関する内規」(制定2016年4月22日、最終改定2025年11月28日)第14条 https://anesth.or.jp/files/pdf/53_kikou-senmoni-jizen_20240426.pdf
  7. 公益社団法人日本麻酔科学会「機構専門医 更新申請」 https://anesth.or.jp/users/person/requirement/mechanism_update_renewing
  8. ドクタービジョン+「麻酔科医の平均年収は?多様な働き方による年収の違いも解説」(2026年1月15日公開、執筆:中山博介医師) https://www.doctor-vision.com/dv-plus/column/money/anesthesiologist-25.php
  9. ジョブメドレーエージェント 医師「麻酔科の年収事情」(2024年1月17日公開、2023年6月自社調べ) https://dr-agent.job-medley.com/contents_nenshuu/masuika/
  10. S&Cドクターズキャリア ヒアリングシート・転職支援事例(クライアント提供)

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