「医師の転職に年齢制限はあるのか」「何歳までなら転職できるのか」と悩む医師は少なくありません。
一般企業では年齢が転職の大きな壁となりますが、医師の場合は事情が異なります。
実際、スキルや経験があれば60代、70代でも転職は可能です。
本記事では、年齢と転職の関係、年代別の転職戦略、実際の転職データを基に解説します。
医師の転職に年齢制限はあるのか?
一般的に転職は年齢を重ねるほど不利になるとされていますが、医師の転職はスキルや知識が備わっていれば、年齢に関係なく採用される傾向にあります。
そのため、何歳までに転職した方がいいなど、転職する際の年齢はあまり気にする必要がないでしょう。
臨床経験が豊富な中高年の医師が、在宅医療や特別養護老人ホームなどの需要増大に伴い、より求められるようになっています。
医師の地域偏在や診療科別の医師不足が社会問題になっている現状を鑑みると、特に中小規模の病院や都心から離れた医療施設では、年齢に対して柔軟な採用の姿勢が見られます。
ただし、年齢によって重宝される職場や求められるスキルは異なります。
何歳までに転職した方がいいという明確な基準はありませんが、年齢に応じた職場を選ぶことが重要です。
転職を検討している医師は、自分の年齢をハンディと感じる必要はありません。
転職市場で35歳〜39歳の医師が最も求められているという事実もありますが、それ以外の年代でも十分に活躍の場があります。
【データで見る】医師の転職と年齢の関係
初めて転職する医師が多いのは30代

メディウェルの調査によると、転職経験がある医師は72.4%で、最も多かった転職回数は「1回」(27.5%)でしたが、複数回以上転職している医師も44.9%に上りました。
また、転職を経験した医師の転職回数の中央値は2回でした。
医師の転職回数の世代別内訳を見てみると、「0回」の割合の変化が最も大きかったのは29歳以下から30代にかけてで、75.0%から42.3%まで減少しています。
このことから、30代ごろに初めて転職する医師が多いことがうかがえます。
年代別の転職回数傾向
年代 | 最も多い転職回数 | 特徴 |
30代以下 | 0回 | 初めての転職を検討する時期 |
40代〜50代 | 1回 | 2回目以降の転職が増加 |
60代以上 | 2回 | 転職回数が多い層でさらに転職 |
また、「2回」以上の転職回数の割合に着目すると、30代から40代にかけていずれも増加幅が大きくなっています。
各世代で最も多い転職回数の割合を見てみると、30代以下では転職回数「0回」、40代〜50代では「1回」、60代以上では「2回」となっており、年齢が上がるにつれて転職回数が増えていく傾向が明らかになっています。
60代以上では「6回以上」と回答した医師が1割を超えており、転職回数が多い層でさらに次の転職に踏み切る医師が目立っています。
医師が最初に転職を考える平均年齢は35〜39歳
医師が最初に転職を考える平均的な年齢は35歳〜39歳です。
6年制の医学部課程と2年間の初期臨床研修を経ると、実際の医師としてのキャリアは20代後半からスタートします。
そこから経験を積むと、体力やキャリアの方向性を考慮して、この年代で転職を考える医師が増えてきます。
初期研修が必修になってから10年以上が経ち、医師が自分自身でキャリアを考えるスタイルは定着してきました。
転職に対する年齢の影響は、多くの要因が絡み合って形成されますが、この35〜39歳という年齢層が最も転職活動を始めやすい時期だと言えます。
30代で退局し、クリニック勤務などに移行する医師が多い
年代別の勤務先を見ると、大学病院に勤務する医師の割合が多いのは29歳以下(28.1%)、30代(19.8%)の若手世代です。
専門医やサブスペシャリティなど資格取得のために医局に所属する医師が多いとみられます。
30代では大学病院を含む病院に勤務する医師の割合が29歳以下と比べて減少し、クリニックに勤務する医師の割合が大きく増えています。
資格取得やある程度の経験を積んだのち、医局を退局するキャリアを選ぶ医師が一定数いることがうかがえます。
また、40代以降では開業医の割合が徐々に増加しており、中堅以降の医師がスキルを活かして開業する傾向が見られます。
年齢別|転職で重宝されやすい職場

医師は転職時に年齢の影響をさほど受けません。しかし、年齢によって重宝されやすい職場があるのをご存じでしょうか。ここでは年齢別に転職先として重宝されやすい職場を紹介します。
30代は中小規模の病院やクリニック
30代の医師が重宝されやすいのは中小規模の病院やクリニックです。
中小規模の病院やクリニックは採用後すぐに戦力となる医師を求める傾向にあります。
30代であれば一定の臨床経験がある上に、フットワークの軽さが重宝されるでしょう。
病院の業務には夜勤も含まれます。
夜勤にも耐えられる体力が30代医師の転職時のアピールポイントです。
若手の強みは短期間でのスキルアップや多岐にわたる業界への適応力です。
この時期は、キャリアの方向性を模索しつつ、多くの経験を積むことが重要となります。
40代・50代は大学病院や総合病院
40代・50代は大学病院や総合病院で重宝される傾向があります。
大学病院や総合病院は教育制度や設備、海外研修制度などが整備されているため、若手の医師が集まるというのが特徴です。
そのため、40代さらには50代といったスキルや経験が豊富にあるベテランの医師は若手医師の指導者として重宝されるでしょう。
大学病院に勤務する医師は、大学卒業から医局に所属している医師で構成されています。
しかし、経験豊富な医師を外部から招き入れるケースもあるため、医局に所属していなくても大学病院への転職は可能です。
40代・50代医師が重宝される理由
この時期の医師は専門的な知識やスキルを十分に持っていることが多く、特定の職場や役職での即戦力として求められるケースが増えます。
40代、50代の医師のなかでも、大学病院や総合病院で重宝されやすいのが指導医の資格を持っている医師です。
指導医は7年以上の臨床経験があり、指導医養成講習会を受けていることが条件です。
指導医は研修医を指導する立場にあるため、研修医が多い大学病院や総合病院などにアピールしやすくなります。
将来も無理なく働くなら中小規模の病院やクリニックも
40代、50代の医師であっても中小規模の病院やクリニックへの転職も可能です。
上述のように指導医の資格を持っていれば、研修医を指導する立場として優遇されるかもしれません。
また、将来的にも無理なく働くためにクリニックに転職するという選択もあります。
例えば、50代前半までは総合病院などで勤務して、50代後半から60代以降は一般クリニックや健診施設など、体力に負担がかからない働き方を選ぶことも可能です。
50代以上の医師は長いキャリアと経験を活かすことができます。
管理職や指導職としての役割を担うことが期待されることが多いです。
一方で、新しい技術や領域への移行は難しくなるため、転職の際は自身の経験を最大限に活かすポジションを見つけることがキーです。
産業医に転職する方法もある
医師の転職先は中小規模の病院やクリニック、大学病院、総合病院だけではありません。
産業医に転職するという方法もあります。産業医には嘱託と専属という2つの働き方に分かれます。
産業医の働き方とメリット
働き方 | メリット |
嘱託 | 時間を調整しやすい、臨床業務との兼務可能、産業医として独立可能 |
専属 | 残業が少ない傾向、休日出勤は少ない傾向 |
産業医のうち嘱託であれば、時間を調整しやすくその後産業医として独立も可能です。
一方、一つの事務所に専属で勤務する場合は残業、休日出勤が少ない傾向にあります。
そのため、ワークライフバランスの充実を図るのに適しています。
【年齢別】医師の転職理由と傾向

転職を経験した医師873人に対して聞いた前回の転職理由について、年齢別に傾向の違いを分析した結果を紹介します。
年代によって転職を考えるきっかけは大きく異なることがわかりました。
29歳以下:転科や臨床を離れる選択を検討
29歳以下の医師から寄せられた転職理由の中では、「転科」や「臨床医」といったワードのスコアが高く算出されていました。
研修する中で忙しさや責任の重さを実感し、今後キャリアを進めていくことへの不安を感じている医師が多いことがわかります。
29歳以下の医師の多くは専門医などの資格取得を目指している段階にあり、キャリアの道筋がまだ定まっていないケースがほとんどです。
そのため、他の年代の医師に比べて、転科や臨床から離れる選択肢を検討する医師が多い傾向にあることがうかがえます。
主な転職理由
激務のため転科を考えている。現在の診療科が自分に合わない
長時間労働に疲れた。専門外領域に魅力を感じており、転科したい
臨床医を続けていく限界を感じた
医局人事に疲れた時の備えとして情報を集めておきたい
また、29歳以下では「休息を取れず忙しい状態が続き心身の疲れを感じたため」が40.0%で最も多くなっています。
回答数が少ないため数値に偏りが出ている可能性はありますが、長時間労働など激務をきっかけに転職を考える医師が多いことがわかります。
30代:年収・待遇面での不満が最多
30〜50代では「年収・待遇面での不満を感じたため」という理由が最多となっています。
結婚や育児により生活費や教育費がかさむ世代と重なっており、収入を重視する時期であることが推測できます。
30代医師の特徴的なワードとして「育児」「子育て」「子供」などが挙がっています。
「家庭」「両立」といった語句から、変化を迎えたライフスタイルと医師業務との両立を図る目的もうかがえました。
30代特有の転職理由
大学での当直回数が多く、給与が安い
学会準備や雑務がだんだんつらくなってきた。収入も増やしたい
子どもが生まれたため転居を予定しており、働き方を見直したい
育休復帰後、0歳児育児と仕事の両立を目指したが職場の理解を得られず
そろそろ医局人事を離れて定住したい
「家庭環境の変化」と回答した割合が比較的多かったのは30代(18.4%)、40代(17.4%)でした。
結婚や出産・育児、さらに介護も始まる年代であり、年収や働き方を見直す必要が出てくる時期です。
40代:医局人事とキャリアの岐路
40代医師の転職理由でも30代と同じく「医局人事」や「医局」のワードが高スコアとなっています。
医局人事に嫌気がさした、医局に所属していると今後のキャリアが不透明だと感じるといった意見が多く見られました。
また、他の世代であまり見られていない特徴的なワードとして「スキルアップ」「将来的」などが挙がっており、キャリアの岐路に立って転職を検討する医師が多いことがわかります。
主な転職理由
開業前の準備をしたい。そのために必要な診療スキルを維持したい
自分のスキルをもっと生かせる職場を求めている
さらにスキルアップするためロボット手術を習得したい
現在の労働環境が過酷で心身を病んだ
経営体質や労働環境の改善が見込めない
「資格取得やスキルアップ」を挙げた割合が最も多かったのは40代(16.4%)でした。
一般に専門医やサブスペシャリティの取得を終え、技術や自分の得意分野をより磨いていく年代だといえるのではないでしょうか。
50代:定年を意識した転職
50代医師の転職理由では30~40代に引き続き「医局人事」というワードが目立っています。
「単身赴任」もスコアが高くなっており、長年医局人事に従うことで家族と離れて働いている医師も少なくない現状がわかります。
挙がっている中で特徴的なのは「定年」「退職」「60歳」などのワードです。
実際に定年を迎える60代よりは全体に占める比重が少ないですが、近づいてきた定年退職を意識して、年収確保や働き方の改善につながる転職を目指す傾向が見て取れます。
主な転職理由
医局人事を受け入れるかどうか迷っている
単身赴任中にケガをしてしまい、家族と暮らしたいと思った
現在の病院を定年退職予定だが、定年後の収入を確保したい
60歳になるのを機に、週4回の勤務に移行したい
救急や日当直といった業務が負担。体調を崩した
また、「体力的」や「年齢」といったワードから、身体の衰えを自覚し始める年代でもあることがわかります。
労働環境を今よりも緩やかな条件にしたいという医師も多く見られました。
60代以上:定年退職や閉院がきっかけ
60代の医師では転職理由の中でも「定年」「退職」「閉院」のワードが高スコアでした。
定年退職や自院の閉院は資格取得に並ぶキャリアの転換点であり、そういったターニングポイントを機に働き方を見直したいと考える医師が多い傾向にあります。
主な転職理由
現職を定年退職する予定。当直なしの勤務条件を探している
70歳くらいまで勤務可能な医療機関を検討したい
転職というよりは、定年後の再就職
個人のクリニックを閉院したので、別の老健施設などで働きたい
また、「院長」「理事長」といった勤務先の管理者もワードに挙がっています。
人間関係、方針の違いなどを感じて転職の選択肢に目を向けているケースも見受けられます。
60代以上では「勤務の時間的拘束が長いと感じたため」がそれぞれ17.8%(60代)と31.4%(70代以上)で最多でした。
定年を迎えていく世代で、年収や待遇の変化よりも勤務時間を短くしてゆったり働くことを望んでいるのではないかと考えられます。
70代以上の医師の転職理由では「介護老人保健施設」「老人ホーム」といった具体的な勤務先名のワードが高いスコアとなっています。
臨床よりも業務内容が落ち着いている勤務先でゆったり働きたいという思いがうかがえます。
年齢別|転職時に譲れない条件

医師が転職する時に譲れない条件として挙げた中で、年代によってどのような違いがあるのでしょうか。
年齢別の傾向を見ていきましょう。
全年代共通:当直なし
今回の調査では、転職する時に譲れない条件として挙げた中で多かったのは「当直なし」の条件です。
これは全ての年代で最もスコアが高い条件となっており、医師が共通して当直業務を避けたいと考えていることがわかります。
ただし、29歳以下では他の年代と比較して「条件によっては当直可」とする医師が多く見られました。
譲れない条件で当直に言及した医師のうち、「当直応相談」としている医師の割合を年代ごとに調べたところ、29歳以下は43.3%と最も高く、30~50代は20%台、60代は13.0%、70代以上は0.0%という結果でした。
年代別「当直応相談」の割合
年代 | 当直応相談の割合 |
29歳以下 | 43.3% |
30〜50代 | 20%台 |
60代 | 13.0% |
70代以上 | 0.0% |
年齢が上がるにつれて、当直を完全に避けたいと考える傾向が強まることがわかります。
20代・30代:専門医取得や年収重視
29歳以下の医師が転職する時に譲れない条件の中では、「専門医」「指定医」など、資格取得を目指す医師が多い世代に特徴的なワードも見られました。
この語群は30代でも共通して譲れない条件に挙がっています。
関連して「指導」や「症例」といった語句もあり、スキルアップ面での環境を重視する傾向が分かります。
30代の医師の転職時に譲れない条件を見ると、29歳以下に比べて「年収」の単語出現率が高くなっています。
家庭を持つなどして収入確保の必要性が増す世代であるほか、医師として数年間激務に従事し、業務に見合った年収を求める動きが出ていると考えられます。
また、29歳以下と比べて30代では「年収1,800万円」などと金額を明確に条件に挙げている医師が増えていました。
30代医師の条件例
年収アップしたい。子育て中に理解のある場所がありがたい
自宅から近い勤務先で、年収2,000万にできるだけ近い求人希望
子どもが小さく融通の利く勤務に切り替えたいが、今の年収1,700万円を維持したい
また、「クリニック」「産業医」というワードが挙がっており、病棟管理や救急対応などで時間外業務を強いられる可能性が低い転職先を選びたいと考えていることがうかがえます。
40代・50代:年収2,000万円目標と救急対応なし
40代医師が転職時に譲れない条件として、「年収」「給与」「2,000万円」など、収入に関するワードが多く出ています。
これは50代にも共通しており、いずれも働き盛りで医師が最高年収に到達する世代とも重なっています。
40代・50代の条件例
スキルを活かせる症例豊富な医療機関で、年収は1,800万円以上を希望
子どもが生まれたので退局し、年収2,000万円を目指したい
大学病院勤務が長く疲弊。年収1,600万円以上とゆったりした働き方を両立したい
30代以下、60代以上では年収以外の勤務条件を重視する声のほうが目立っており、年代によって差が出ているポイントだといえます。
50代医師が転職時に譲れない条件では、「救急」の単語出現比率が40代以下よりも高くなっています。
体力的な懸念から救急対応を避けたいと考える傾向が、この数値につながっているものとみられます。
60代以上:ゆったり勤務と体力面の配慮
60代医師が転職時に譲れない条件の中では、「当直なし」「オンコール」など、ゆったりした勤務条件が重要視されています。
年収よりも働き続けられる環境を優先したいと考える医師が多いことがうかがえます。
60代以上の条件例
とにかく楽な勤務を希望
給与は問わないのでのんびり働きたい
年齢的に手術する体力もない。老健施設や老年内科でゆったり働ける求人を探したい
70代以上の医師では、転職時に譲れない条件の中で「当直」に言及した医師の全員が「当直なし」を必須条件に挙げています。
また、「後期高齢者」のワードも登場しており、高齢なために求人が見つかりにくい状況がうかがえます。
ベテランになる前に転職すべきケースとは?
医師も他の一般職と同様、スキルアップや年収のアップを目的とした転職が可能ですが、転職を検討する際に意識するのが年齢でしょう。
医師は年齢に応じた職場に転職するのがおすすめですが、診療科によってはベテランと言われる年齢になる前に転職した方がいいケースもあります。
例えば、外科や脳神経外科は平均労働時間が長い傾向にあるため、ベテランになると体力的な負担が大きくなる可能性があります。
外科や脳神経外科に勤務していて転職を検討する場合は、体力面で比較的余裕がある若いうちに転職活動をするのがおすすめです。
体力面での負担が大きい診療科
外科:平均労働時間が長い傾向
脳神経外科:体力的な負担が大きい
救急科:夜勤・当直の頻度が高い
一方、専門化の重要性も考慮する必要があります。
医療界でのキャリアパスを検討する際、特に専門を持たない一般医と専門医のどちらが最適かを考えるべきでしょう。
この選択は、医師としての今後のキャリアプランと成長、仕事の満足度に大きく関与します。
一般医としての経験を積むことで、患者との総合的な関係を築くスキルを磨くことができます。ただ、近年、「専門医」であることの対外的価値は高まっている事実は見逃せません。
一方、専門医は特定の医療分野に特化したエキスパートとして、独自の経歴を築くことができます。しかし、専門領域の患者のみを診療し、それ以外の患者を診ない時期が長くなると、キャリアの可能性を狭める恐れがあります。
転職のタイミングは個人によって異なりますが、自身の目標と価値観に合ったキャリアパスを選ぶことが重要です。
また、転職のタイミングは慎重に考え、将来の成功に向けて計画を立てるのが賢明です。
年齢別|医師の平均年収
医師の平均年収は年代と性別によって大きく異なります。
厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によれば、企業規模計10人以上の病院やクリニックなどに勤務する医師の平均年収(ボーナスなど含む)は次のとおりです。
年齢層別平均年収
年齢層 | 男女合計 | 男性 | 女性 |
25歳~29歳 | 約654.7万円 | 約697.1万円 | 約581.5万円 |
30歳~34歳 | 約939.2万円 | 約1,007.2万円 | 約781.6万円 |
35歳~39歳 | 約1,259.4万円 | 約1,297.3万円 | 約1,136.6万円 |
40歳~44歳 | 約1,478.1万円 | 約1,521万円 | 約1,307.5万円 |
45歳~49歳 | 約1,655.7万円 | 約1,738.8万円 | 約1,342万円 |
50歳~54歳 | 約1,908.6万円 | 約1,927.1万円 | 約1,829.6万円 |
55歳~59歳 | 約1,701.2万円 | 約1,760.2万円 | 約1,400.9万円 |
60歳~64歳 | 約1,833万円 | 約1,861.3万円 | 約1,381万円 |
65歳~69歳 | 約1,783.4万円 | 約1,812.9万円 | 約1,585万円 |
70歳~ | 約1,607.2万円 | 約1,672.1万円 | 約786.5万円 |
転職をする際は、自身の年齢に応じて平均年収がどれくらいになるのかを参考にしてみましょう。
この数値を基準として、転職時の条件交渉を進めることで、適切な年収設定が可能になります。
また、医師の年収は経営形態によっても異なります。
中央社会保険医療協議会「第23回医療経済実態調査の報告(令和3年実施)」では、次のとおり医療法人の平均年収が最も高くなっています。
経営形態別の平均年収
経営形態 | 平均年収 |
国立 | 1,323.9万円 |
公立 | 1,472.6万円 |
公的 | 1,384.1万円 |
社会保険関係団体 | 1,427.6万円 |
医療法人 | 1,506.2万円 |
年収を高めることが目的の転職であれば、勤務地以外に経営形態にも着目しましょう。
年齢別|転職成功のポイント
転職を考える際、年齢は重要なファクターの一つです。
年齢にはそれぞれ特有のハードルとチャンスが伴います。
年齢別の転職成功のポイントを見ていきましょう。
20代〜30代前半:新たなスタートの場所
若手の強みは、短期間でのスキルアップや多岐にわたる業界への適応力です。
この時期は、キャリアの方向性を模索しつつ、多くの経験を積むことが重要です。
しかし、経験が浅いため、自分の価値をうまくアピールする必要があります。
若手医師の転職成功ポイント
専門医取得に向けた意欲や症例経験の豊富さをアピール
将来のビジョンを明確に説明できること
委員会活動等への積極的な関わりを実績として提示
コミュニケーション力の高さがわかる経験を強調
若いうちの転職では、それでも採用されにくいこともあります。
病院側が本人の希望に叶うポジションを用意しにくい場合などです。例えば「もっと症例数の多い病院に行きたい」という前向きな転職理由だとしても、転職先にも同年代の医師がいると、双方の要望に沿う体制が作れないこともあります。
症例数を目的とする転職なら、地方移住することも視野に入れた方が有効です。
30代後半〜40代:専門性を活かす時
この時期の医師は、専門的な知識やスキルを十分に持っていることが多いです。
そのため、特定の職場や役職での即戦力として求められるケースが増えます。
しかし、キャリアチェンジを希望する場合、これまでの経験をどう生かすかがハードルとなることもあります。
ミドル世代の転職成功ポイント
執刀医としての実績を具体的な数字で示す
マネジメント経験や後輩育成の実績を明確に
チーム医療における役割と成果を説明
一人で完結できる診療能力をアピール
スキル面では、症例数だけでなく自分一人でどこまでできるかも重要視されます。
外科系なら、手術の経験数のうち自分が執刀医だったのは何件か、一人で完結できる手術は何かなどが問われます。
内科系は体制によっては、他の医師との役割分担などにも柔軟に対応するつもりで臨むことが大切です。
耳鼻科や皮膚科など、小規模な科で転職を希望する場合は30代後半を逃さない方が良いでしょう。
小規模な科は常勤医が一人という病院が多く、その医師の年齢は40〜50代という場合が多いため、同年代の医師だとポストがバッティングしてしまいますが、30代のうちの転職なら次世代として求められることが多いのです。
50代以上:経験の豊富さを活かす
50代以上の医師は、長いキャリアと経験を活かすことができます。
管理職や指導職としての役割を担うことが期待されることが多いです。
一方で、新しい技術や領域への移行は難しくなるため、転職の際は自身の経験を最大限に活かすポジションを見つけることがキーです。
シニア医師の転職成功ポイント
長年の経験に基づく総合的な判断力をアピール
若手育成や組織マネジメントの実績を強調
専門領域での指導的役割の経験を提示
体力面を考慮した現実的な勤務条件の設定
転職を考える際には、自身の年齢とそれに伴うスキル、経験を理解し、市場のニーズと照らし合わせて動くことが成功の鍵となります。
転職活動の進め方|スケジュールと準備
医師が転職活動を行う際は、情報収集から採用・勤務開始までのスケジュールを立てましょう。
スケジュールは、勤務を開始する日から逆算して立てていくことがおすすめです。
転職活動のスケジュール例
勤務開始予定日の1年前から転職先の情報を収集していきましょう。
入職の半年前には応募、面接・病院見学を完了させておけば、転職先への準備も万端に整えられますし、現職の引継ぎもスムーズです。
病院見学時に確認しておくべきポイント
病院見学時は次のような点を確認しておきましょう。
外来や病棟の雰囲気
当直室やトイレ、食堂といった院内の設備
残業や当直が面接で聞いた話と相違がないか
同僚となる他の医師との会話の機会
病院見学時は同僚となる他の医師と会話できるケースもあります。
他の医師と会話できる機会があれば、職場の状況について質問するのがおすすめです。
インターネットを活用した情報収集
近年、医師専用求人サイトは医師転職の主要な情報源となっています。
医師求人に特化しているため、多岐にわたるクリニックや地方病院の情報を一括で閲覧・比較することが可能です。
この利点を最大限に活用するためには、複数のサイトに登録するのがおすすめです。
また、近年のトレンドとして「保険診療」から「自由診療」への転職を希望する医師が増えてきています。
このような市場の動向を理解し、自分自身のキャリアと照らし合わせることで、適切なタイミングや方向性での転職が可能となります。
転職で失敗しないための3つの注意点

医師が転職をする際、何歳で転職するにしても次の3つには気をつけましょう。
1. 知人や先輩の紹介で断りづらい
医師の転職活動の具体的な方法として、知人や先輩からの紹介があります。
このような方法で転職活動をしていると、知人の紹介という安心はある一方、自身の希望と異なった場合に選考を辞退しづらくなる場合もあります。
例えば、当初聞いていた話と面接での話が異なった場合、選考を断るのに抵抗を感じる可能性があるでしょう。
断れず入職したとしても、希望と違う職場は働いてもモチベーションを上げるのが難しく、結果的に転職先にも迷惑をかけることになりかねません。
そのため、知人や先輩の紹介であっても、希望と異なる場合は断ることを心掛けましょう。
2. 勤務条件を口約束で交わしてしまう
一般的に転職時には雇用契約書を交わしますが、医局人事による転職の一部では書面を交わさないケースもあるようです。
書面を交わさないと勤務時間や勤務内容、残業があるかどうか、インセンティブの発生などの大事な条件が口約束で交わされることになります。
その結果、言った言わないの水掛け論のトラブルに発展してしまう恐れもあります。
このようなトラブルを避けるために転職時は必ず雇用契約書を交わすようにしましょう。
3. 経営状態を把握せずに転職してしまう
病院やクリニックであっても、万が一経営状態が悪化してしまうと給与が下がってしまう可能性があります。
そのため、もしもの際に備えて事前に転職先の経営状態を把握しておきましょう。
転職先の経営状態を把握するには、何度か病院見学をするのがおすすめです。
また、転職エージェントを使用するのであれば、担当者に確認するという方法もあります。
まとめ:医師の転職活動は何歳からでもOK!年齢に応じて進めよう
一般の職業では年齢を重ねるほど転職しづらいといわれています。
しかし医師の場合は、転職で年齢が足かせになることはさほどありません。
医師が転職活動をする際は、何歳までに転職をしないと採用されにくいということはなく、年齢に応じた職場を選ぶのがよいでしょう。
転職市場における医師の需要について考えてみますと、特定の診療科や地域のニーズが大きく影響します。
医師の地域偏在や診療科別の医師不足が社会問題になっている現状を鑑みると、特に中小規模の病院や都心から離れた医療施設では、年齢に対して柔軟な採用の姿勢が見られます。
年齢別の転職戦略まとめ
30代:中小規模の病院やクリニックで重宝されやすい。体力やフットワークの軽さが強み
40代・50代:大学病院や総合病院で若手医師の指導者として重宝される。特に指導医資格保有者は有利
60代以上:定年後も老健施設や介護系施設、クリニックでゆったり勤務が可能
また、医師が転職をする際は目的を明確にすることが大切です。
キャリアアップや年収UP、妊娠・出産・育児との両立など、自分が転職する目的を明確にしておきましょう。
目的が明確になったらスケジュールを立てて、それに沿って転職活動を進めていきます。
転職活動を進める際は勤務条件を書面で交わす、経営状態を事前に把握しておくといったことに注意が必要です。
転職は大きな一歩であり、慎重な計画と準備が必要です。
しかし、現代の情報リソースをうまく利用することで、自分にとって最適な転職先を見つけるチャンスが広がっています。
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