医師の転職活動において、履歴書は最初の関門となる重要な書類です。
しかし、医師特有の記載項目や評価ポイントについて、体系的に学ぶ機会は多くありません。
本記事では、厚生労働省の最新ガイドラインに基づき、医師転職に必要な履歴書作成のノウハウを解説します。
医籍番号の記載から専門医資格の表現方法まで、実践的な内容をお伝えします。
医師履歴書の基本原則
医師の履歴書には、医師法に基づく特殊な記載要件があります。
2021年に厚生労働省が発表した新様式への対応も含め、適切な形式で作成することが求められます。
厚生労働省による最新様式の変更点
2021年4月に施行された新しい履歴書様式では、プライバシー保護の観点から以下の変更が行われました。
【主な変更内容】
性別欄が任意記載に変更
通勤時間の項目を削除
扶養家族数(配偶者を除く)の項目を削除
配偶者の扶養義務に関する項目を削除
これらの変更により、応募者の個人的な事情に関する情報の記載が任意となり、より公平な選考環境が整備されています。
医師特有の必須記載事項

一般的な履歴書との最大の違いは、医師免許に関する詳細情報の記載です。
【医師が必ず記載すべき項目】
医師国家試験の合格年月
医籍登録番号
取得している専門医資格
指導医資格(該当者のみ)
これらの情報は、医師としての身分確認と専門性の証明に不可欠です。
履歴書各項目の詳細記載方法
履歴書の各項目には、それぞれ特有の記載ルールがあります。
正確な情報提供と読みやすさの両立により、採用担当者に良い印象を与えることができます。

①基本情報欄の正確な記載
【日付の決定方法】
日付欄には、履歴書の作成日ではなく、実際に応募先へ提出する日を記入します。
郵送の場合は投函日、面接での持参の場合は面接当日の日付を記載してください。
【氏名表記の注意点】
戸籍に登録されている正確な漢字を使用し、略字や俗字の使用は避けます。
ふりがなも正確に記載し、読み間違いを防ぐよう配慮します。
【年号統一の重要性】
履歴書全体を通じて、西暦または和暦のどちらか一方に統一します。
混在した表記は見た目の統一感を損ない、注意深さに対する疑問を招く可能性があります。
【証明写真の選定基準】
撮影から3ヶ月以内の写真を使用し、医師としての信頼感を表現できる服装を選択します。
スーツまたはジャケット着用が基本で、清潔感のある身だしなみを心がけてください。
②連絡先情報の適切な設定
【住所記載の詳細要件】
都道府県名から始まり、市区町村、丁目、番地、建物名、部屋番号まで省略せずに記載します。
郵便番号も正確に記入し、確実な郵便物の配達を確保します。
【電話番号の選択基準】
日中に確実に連絡が取れる番号を記載します。
今は携帯電話を記入するのが一般的です。着信拒否設定がある場合は事前に解除しておきましょう。
【メールアドレスの配慮事項】
現在の勤務先のアドレスは使用せず、個人のアドレスを記載します。
フリーメールでも問題ありませんが、キャリアメールを使用する場合は法人からのメールがブロックされないよう設定を確認してください。
③学歴記載の基本ルール
【記載開始時期】
高等学校卒業から記載を開始します。
それ以前の学歴は通常記載する必要がありません。
【学校名の正式表記】
すべての教育機関名は略称を使用せず、正式名称で記載します。
私立・国公立の区分も明記し、医学部については「○○大学医学部医学科」のように詳細に記入してください。
【名称変更への対応方法】
在学中または卒業後に学校名が変更された場合は、在学時の名称を記載し、括弧内で現在の名称を補足します。
④職歴表現の工夫
【時系列での整理】
すべての職歴を年代順に記載し、キャリアの進展を分かりやすく表現します。
【医療機関名の正確な記載】
法人格を含めた正式名称で記載し、略称の使用は避けます。
名称変更がある場合は、学歴と同様に旧名称と現名称を併記してください。
【所属部署と役職の明記】
各勤務先での所属診療科、役職、雇用形態を具体的に記載します。
昇進や部署異動がある場合は、それぞれ独立した行で記録してください。
【医局人事異動の表記】
医局制度による人事異動の場合は、「(医局人事による異動)」と明記し、個人的な転職との区別を明確にします。
【海外経験の記載方法】
研究留学や海外研修の経験がある場合は必ず記載します。
国名を明記し、機関名はアルファベットとカタカナを併記して読みやすさを確保してください。
⑤免許・資格欄の戦略的活用
【記載順序の原則】
運転免許を最初に記載し、続いて医師免許、その他の資格を取得年月順に記入します。
【医師免許の詳細情報】
医師国家試験の受験回次と医籍登録番号を必ず併記します。
採用時の確認作業を円滑にするため、正確な番号の記載が重要です。
【専門医資格の価値表現】
認定医、専門医、指導医などの資格は、医師としての専門性を示す重要な要素です。
取得年月日とともに、更新が必要な資格については次回更新予定も記載してください。
⑥志望動機・自己PRの構成
【応募理由の具体化】
「なぜその医療機関を選んだのか」を明確に表現します。
応募先の理念、診療方針、地域での役割などを事前に調査し、共感できる点を具体的に示してください。
【経験・実績の根拠提示】
抽象的な表現ではなく、保有資格、臨床経験、具体的な実績を根拠として示します。
エピソードを交えた説得力のある内容を心がけてください。
【文体の統一】
「です・ます調」で統一し、礼儀正しく誠実な印象を与える文章を作成します。
⑦本人希望欄の効果的な活用
【基本的な記載内容】
特別な希望がない場合は「貴院(貴クリニック)の規定に準じます」と記載します。
【個別事情への対応】
子育てや介護などの事情により勤務条件に制約がある場合は、理由とともに具体的な希望を記載します。
事情を説明することで、採用担当者の理解を得やすくなります。
履歴書作成時の重要ポイント

完成度の高い履歴書を作成するためには、計画的な準備と丁寧な確認作業が必要です。
事前準備の重要性
【応募先の要件確認】
医療機関によって指定フォーマットや提出方法が異なる場合があります。
事前に確認し、要求に応じた準備を行ってください。
【情報整理と下書き】
過去の職歴、取得資格、志望動機で伝えたい内容を事前に整理し、下書きを作成します。
特に志望動機は複数回の推敲により、説得力のある内容に仕上げてください。
最終確認のチェックポイント
【誤字・脱字の確認】
すべての記載内容について、誤字・脱字がないか入念に確認します。
特に固有名詞(医療機関名、学校名等)の正確性に注意してください。
【情報の整合性確認】
学歴・職歴の年月日に矛盾がないか、資格取得年が正確かなど、記載内容全体の整合性を確認します。
【空欄の確認】
記入すべき欄に空欄がないか確認し、該当事項がない場合は「なし」と記載するか、適切な表記を行ってください。
提出方法とマナー
履歴書の提出方法により、適切なマナーと注意点があります。
郵送での提出
【封筒と書類の準備】
定形外の白封筒を使用し、書類に折り目がつかないよう注意します。
クリアファイルで保護し、送付状を最上部に配置してください。
【宛名の正確な記載】
応募先の正式名称と正確な住所を記載し、担当部署または担当者名を明記します。
「応募書類在中」の表記も忘れずに行ってください。
電子メールでの提出
【ファイル形式の統一】
PDFファイルでの送信が基本です。ファイル名は「履歴書_氏名_日付」など分かりやすく設定してください。
【セキュリティ配慮】
個人情報保護の観点から、パスワード設定を求められる場合があります。
別途連絡方法でパスワードを伝達してください。
面接時の手渡し
【事前準備】
封筒を用意し、面接会場で履歴書を封筒から取り出して手渡しします。
書類の状態に注意し、汚れやシワがないことを確認してください。
まとめ
医師の履歴書作成では、医師法に基づく特殊要件と一般的なビジネスマナーの両方を満たす必要があります。
成功する履歴書の要素
厚生労働省の最新様式への準拠
医師特有項目の正確な記載
応募先に応じた適切な志望動機
丁寧で統一感のある表記
履歴書は転職活動の第一歩となる重要な書類です。
時間をかけて丁寧に作成し、医師としての専門性と人間性を効果的にアピールしてください。
履歴書作成でお困りの際は専門家にご相談を
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